9-7《コモンとしての建築》と『人新世の「資本論」』

「コモン」という考え方と、はじめて真剣に対峙したのは、2020年9月に発売されて累計50万部以上売れている、斎藤幸平『人新世の「資本論」』を読んだ時でした。当時、タイトルに使われた「人新世」という言葉がとても新鮮で、引き込まれるように読んだものです。5年以上たった2026年に読み返してみると、いくつかの提言があった中で、「地球をコモンとして持続可能に管理する」社会のあり方や、歴史を終わらせないために「コモンを再建する脱成長コミュニズムが必要だ」とする、コモンをキー概念とする主張には、状況の深刻度が当時より増していることもあって説得力を感じます。

人は社会をつくって時空を共有しながら、互いにコミュニケーションすることで生を持続しているのだとしたら、人のふるまいの総体が都市や建築の空間と呼応し合って、相互に支え合うような関係が必要だと思います。人の生は人を取り巻く環境、都市・建築のあり方に影響を受けて、そのあり方を決められていますし、人の行動の特色が都市や建築のあり方に一定の限定を与えているのも確かなように思います。つまり、コモンとの深い関わりを持つ必要があるのだと思います。
そして、《コモンとしての建築》を強く意識することで、より充実した生の場を生成させていけたらと考えるのです。

『A Pattern Language』(1977年)を世に問うたクリストファー・アレグザンダーも、その言説において、理想主義的であることを自覚しつつ、人の生を支え得る多様な特色を持った都市・建築が、一定の構造とシステムを持ちつつバランスよく分散配置されることで人の多様なふるまいと呼応し合っている、生き生きした暮らしのある世界を夢想していたのではないでしょうか。コモンとしての都市・建築を実現したいと考えていたに違いないと思うのです。

※『人新世の「資本論」』のポイントをまとめたキラーペーパーを、当時つくっていましたので、よろしければご覧ください。主として、第4章「人新世」のマルクス、第6章欠乏の資本、潤沢なコミュニズムあたりで、「地球をコモンとして持続可能に管理する」話と、歴史を終わらせないために「コモンを再建する脱成長コミュニズムが必要」という話を書いています。

(なべ)

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