9-4《災害時のレジリエンス》とマリーナ・タバサム・アーキテクツ展

先日、TOTOギャラリー・間で開催されている「マリーナ・タバサム・アーキテクツ展:People Place Poiesis」(2025.11.21 – 2026.02.15)を観てきました。
バングラデシュのダッカを拠点とする女性建築家、マリーナ・タバサム(Marina Tabassum, 1969–)が主宰する Marina Tabassum Architects(MTA)は、気候・文化・伝統に根ざした建築設計に取り組むと同時に、自然災害や貧困といった社会課題にも正面から向き合い、人々の暮らしに根差した建築を展開してきました。
展覧会では、「人々」「土地」「創作/詩作(ポイエーシス)」の3つをキーワードに、MTAの建築と活動が、模型・映像・インスタレーションなどを通して紹介されています。

展示の中でも特に印象的だったのが、中庭に建てられた、洪水に対応する可動式住宅「クディ・バリ(Khudi Bari)」の実寸大モデルです。クディ・バリは、地域の人々によって短期間で組み立て・解体が可能で、平時の住居としてだけでなく、緊急時のシェルターとしても機能します。
まさに、『建築を学ぶためのパターン・ランゲージ』に収録されたパターン 9-4《災害時のレジリエンス》を体現する建築の提案だと感じました。気候変動による洪水などによって土地を追われた人々のために開発された、竹とスチールジョイントによるモジュラー建築「クディ・バリ」は、一見の価値があります。

MTAが設立したF.A.C.E.(The Foundation for Architecture and Community Equity)では、このクディ・バリの仕組みを応用し、難民キャンプにおけるコミュニティセンターなど、さまざまな用途の建築にも取り組んでいます。
本展でもクディ・バリのシステムを応用し、竹と金属ジョイントによって組み上げられた別の実寸大モデルも展示されています。これは、ロヒンギャ難民キャンプのためのコミュニティ施設で、単体のユニットを複数連結することで、より大きな空間を生み出すことが可能です。制約の多い難民キャンプという状況において、柔軟に展開できる建築が求められ、現地で入手可能な竹が主要な素材として用いられています。

マリーナ・タバサム。
今後ますます目を離せない建築家です。

(やま)

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